妊娠に不可欠なステップとして、受精卵が子宮内膜に入り込む「着床」と言う過程があります。妊娠するためには着床しなければいけませんし、着床しないで妊娠することも、妊娠しているのに着床していないこともありえません。

こんな妊娠にとって大切な着床なのですが、妊娠を望んでいる方の中には、着床障害の悩みを抱えている方も多いでしょう。着床障害が簡単に分かって、簡単に改善できるものであれば苦労はありません。

でも、実際には着床障害は検査でも診断が難しく、なかなか妊娠できないことから着床障害の可能性を考えることが多いです。

そして、着床障害の可能性が考えられる場合には、状況によっては治療を進めていくこともあります。妊娠には年齢的なリミットもあるので、着床障害の可能性があるならできるだけ早めに対処できると良いですよね。では、着床障害の原因について見ていきましょう。

・そもそも着床障害とは?

「着床障害=不妊症」と考える方が多いように、着床障害は妊娠を目指す上で重要な問題です。そもそも、着床は受精卵が子宮内膜に入り込んで、根を張ることを言います。

ただ、着床障害はあくまでも着床の段階での問題なので、必ずしも受精までの過程に問題があるとは限りません。受精までの過程が問題なく進んでも、着床そのものに問題があって妊娠に繋がらないケースも多いです。

また、妊娠したと思っても、残念ながら子宮内膜が受精卵に根を張らせない状況にあると、せっかくの妊娠がダメになってしまうことも。

もちろん、着床障害全てが妊娠に繋がらない訳ではないので、妊娠を強く望んでいるのなら少しでも早い段階で医師に相談してみることです。

ここで、「妊娠できない期間が2年以上」を目安に、医者に相談することを考えている方も多いでしょう。でも、2年以上も期間を置くと、年齢的な問題が出てくることもありますよね。

「医者にかかった時には、以前よりも妊娠しにくい体になっていた。」なんて言うことも考えられます。高齢の方ほど、妊娠できない期間が半年以上続いたら、医師に相談することも視野に入れた方が良いです。


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・着床障害の原因は黄体機能不全かも!

着床障害の原因としてまず考えられるのが、「黄体機能不全」と言う症状です。黄体機能不全は名前の通り、黄体の機能不全です。「黄体」と言うのは、排卵を迎えてから卵胞からできる組織のことです。

黄体からは女性ホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が分泌されます。このホルモンは妊娠を継続させるために必要なホルモンで、多く分泌されると子宮内膜が厚くなって着床しやすくなります。

もし黄体機能不全で黄体が正常に機能していないと、プロゲステロンが十分に分泌されず、子宮内膜も着床できるだけの厚さになりません。

仮に運良く着床できた場合でも、赤ちゃんが成長しないうちに子宮内膜が剥がれて、これ以上妊娠を継続できなくなることもあります。こんな妊娠を望んでいる女性にとって大変な黄体機能不全ですが、実は基礎体温から分かることもあります。

通常であれば生理開始日~排卵日にかけての2週間が低温期で、排卵日~生理開始日にかけての2週間が高温期になります。

ところが、黄体機能不全だとプロゲステロンの体温を上昇させる作用が得られず、高温期が2週間よりも少なくなってしまうことがあります。子宮内膜を維持できる期間も短くなって、生理以外で出血が起こることもあります。

・黄体機能不全は治療できることも

黄体機能不全の可能性があって病院にかかると、医師から基礎体温の変化・生理の時の状況(周期・期間・出血量・他の症状)などを聞かれることが多いです。

そして、排卵日の約1週間後くらいに採血を行い、プロゲステロンの数値を調べます。ここで確認できた数値が、10ng/ml未満だと黄体機能不全の可能性が考えられます。

黄体機能不全になると妊娠しにくくなるのですが、医師の指示に従って治療を受ければ妊娠できることもあります。

「生理がスタートしてから体の状態に合わせて、排卵誘発剤で排卵を促す。」「高温期にhCG製剤で黄体に働きかけて、プロゲステロンの分泌を促進する。」「高温期にプロゲステロンを投与する。」このような色々な治療法があるのですが、脳下垂体からプロラクチンが過剰に分泌される「高プロラクチン血症」だと、ドーパミン作動薬でプロラクチンの分泌をコントロールします。


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・着床障害の原因は子宮の病気かも!

着床障害の原因は黄体機能不全以外に、子宮の病気である場合も。代表的な子宮の病気と言えば、子宮内膜ポリープ・子宮筋腫・慢性子宮内膜炎などです。

子宮内膜ポリープは、受精卵が着床するはずの場所である子宮内膜に、良性の腫瘍ができる病気です。子宮内膜にできるだけに、大きいものほど着床を邪魔してしまいます。

小さいものでも複数の腫瘍があると、着床を邪魔してしまうことがあります。それから、子宮筋腫も子宮内膜ポリープと同じように良性の腫瘍ですが、子宮筋腫の場合は子宮の内部に腫瘍ができる病気です。

この病気の場合も大きい腫瘍で卵管を圧迫してしまうと、着床が妨げられることがあります。慢性子宮内膜炎は子宮内膜が炎症を起こす病気で、原因として過去の出産・流産・人口中絶などでできた傷が考えられます。

症状が悪化して子宮周辺の臓器と癒着すると、着床障害に繋がることがあります。

・子宮の病気は治療できることも

子宮内膜ポリープ・子宮筋腫は良性の腫瘍なので、治療しなくても問題なく過ごせることもあります。ただ、腫瘍のせいで妊娠できないとなると、場合によっては治療が必要になることも。

子宮内膜ポリープの場合は、基本的には腫瘍の摘出手術を行います。子宮筋腫の場合は子宮全体を摘出したり、薬でエストロゲンの分泌を抑えたりすることがあります。

もちろん、妊娠を望んでいる方は、このような治療をしては不味いですよね。なので、子宮内膜ポリープと同じように、腫瘍のみを摘出することが多いです。

そして、慢性子宮内膜炎の場合は、原因菌の種類に合わせて抗菌薬を飲んで治療します。

どの病気も重症化させると不妊の原因になるので、生理の状態・基礎体温などから早めに違和感に気付けると良いですよね。医者にかかればほとんどの場合、超音波検査・子宮鏡検査で病気が特定できるのですから。

・生まれつきの着床障害もある?

着床障害には後天的なものばかりではなく、実は先天的のものもあるのです。「子宮奇形」と言って生まれつき子宮の形が異常で、受精卵が着床しにくい場合もあります。

例えば、「子宮が2つある。」「子宮内腔や子宮口が2つある。」「子宮内腔が塞がっている。」「子宮底部に窪みがある。」「子宮が通常の半分の大きさになっている。」などが挙げられます。

このような子宮奇形があると、子宮内が狭くなって着床が起こりにくくなります。

ちなみに、子宮奇形があっても問題なく妊娠・出産できる方もいますが、中には不妊だけではなく流産を繰り返す方も。妊娠・出産に支障が出そうな場合には、腹腔鏡手術や開腹手術などで子宮形成手術を行うことがあります。

・まとめ

妊娠は誰でもできることのように感じられるかも知れませんが、妊娠するためにも着床しやすい子宮環境が必要なのです。これがクリアできなければ、妊活を頑張ってもなかなか妊娠に繋がりません。

それで、着床が困難な着床障害の原因としては、黄体機能不全・子宮の病気・先天的な子宮奇形などが考えられます。妊娠を望んでいるのなら、どの原因も早めに改善しておきたいものです。

なので、毎日の基礎体温の測定・体調の変化などはきちんとメモして、万一医者にかかる場合にもれなく伝えられる状態にできるのがベストです。

忙しくて全てをメモするのが難しい場合でも、せめて気になる体調の変化だけでもメモしておけると良いですね。「妊娠を望んでいるにもかかわらず、半年以上妊娠できない。」「気になる不調がある。」このような場合には、早めに医者にかかっておくと安心です。