妊娠中の薬の使用により、赤ちゃんに悪影響が出るのは怖いですね。薬を飲んでいいのか、薬を飲んでしまったけどこの薬は大丈夫だったのかと不安に思う方が多いと思います。

しかし、正しい知識を身に着けていれば過度な心配をせずに安心して薬を飲んで治療に専念することができますよね。そこで今回は、妊娠時期に着目して薬がどのように赤ちゃんに影響るのかをお伝えします。

薬を飲むとなぜ赤ちゃんに影響するの?

妊娠中は、薬を飲むと赤ちゃんに影響があることはほとんどの方が認識していると思います。母親が飲んだ薬は、どのようにして赤ちゃんに影響するのでしょうか。

薬は、飲むと体内で溶けて血液中に入ります。その後、胎盤を通って赤ちゃんの体内に入ります。赤ちゃんは、からだの機能が未熟なため、体内に入った薬を外に出すことがなかなかできません。

そこで、赤ちゃんに薬の影響が出てしまいます。しかし、実際はすべての薬が赤ちゃんの体内に届くわけではありません。母体の血液に含まれる薬が、赤ちゃんへ行く場合は「血液胎盤関門」を通り抜ける必要があります。

この血液胎盤関門は薬などの赤ちゃんに影響のあるものが入らないように、分別しているところです。

薬によっては、この血液胎盤関門を通り抜けることができなかったり、通り抜けることができてもごく微量のものがあります。

よって、飲んだ薬すべてが赤ちゃんの体内に入り、影響を与えるとは限りません。妊婦が飲める薬と飲めない薬があるのは、このためです。

また、催奇形性のリスクがあるかどうかは、薬を開発するうえでテストしなければいけない決まりになっています。そのため、そのようなリスクがある薬は妊娠中は飲んではいけないとされています。


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妊娠時期による赤ちゃんへの薬の影響の違いは?

薬がどのようにして赤ちゃんに影響するかがわかりましたね。では、妊娠中はずっと薬を避けた方がいいのでしょうか。一般的に妊娠期間は10月10日ですよね。そんなに長い間一度も病気をしないというのも難しいでしょう。

そこで、本題にうつります。妊娠時期別に赤ちゃんへの影響の違いを見ていきましょう。

1.妊娠前

ほとんどのお薬は影響しません。ホルモン剤(ピル、甲状腺機能亢進症薬等)や、抗がん剤など、長期にわたって体内に薬が残り、胎児に悪影響を及ぼす薬に関しては、医師や薬剤師から「避妊すること」と伝えられます。

市販のお薬でそのようなお薬はほとんどありません。

2.超初期(~1カ月)

この時期に服用したお薬も、ほとんど影響しません。妊娠前と同様で、長期にわたって体内に残るお薬は影響を及ぼす可能性がありますが、医師から指摘があります。

この時期の、薬による影響は「all or noneの法則」と言われています。これは、薬の影響を受けた場合は、着床できなかったり(本人も気づかないような)流産になってしまいます。そうならなかった場合は、些細なダメージを受けたとしても細胞レベルで修復されて正常に戻ります。

そのため、妊娠が継続できていればこの時期に薬を飲んでいたとしても影響がなかったと考えて大丈夫です。

3.初期(2~4か月)

赤ちゃんの臓器は妊娠初期に作られます。そのため、この時期(特に妊娠2か月)が最も注意が必要です。2か月頃から、人間の大事な器官である脳や神経、心臓が形成され、その後胃腸、手足、性器、口蓋が形成されます。

4か月頃には形成がほぼ終了し、発達していく過程になります。

そのため、臓器が作られるこの時期は胎児の薬への感受性も高いです。この時期に、奇形を作る可能性の高いお薬は避けましょう。

市販薬では催奇形性頻度の高いお薬はほとんどありませんが、市販薬含め使用する場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。

この時期に飲む薬は、催奇形性の危険度の低い薬剤に限り、治療上必要不可欠な場合のみにしましょう。

ただし、妊娠初期は妊娠に気づいていない方も多いです。この時期に、何日間か風邪薬を飲んでしまった、胃薬を飲んでしまったからと言って絶対影響があるわけではありませんので、過度に心配しなくてもいいでしょう。


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4.中期(5カ月~7カ月)

中期は、比較的安全な時期です。胎児の臓器はほぼ完成してきているので奇形の心配はほぼなくなります。ただし、この頃からお薬の種類によっては臓器の機能に影響を与える可能性が出てきます。

また、赤ちゃんへの影響だけではなく、子宮収縮による早産や羊水過少症が起こる薬があるので注意しましょう。

薬ではありませんが、精製アロマオイル等でも子宮収縮作用をもつもの(ラベンダー等)があるので、使用するときは
注意しましょう。

5.後期(8カ月~)

後期になると、奇形という面では心配はほぼありません。しかし、薬によっては違う悪影響を及ぼすものがあります。

代表例が、NSAIDsと言われている鎮痛剤です。催奇形性および胎児へのリスクは少ないといわれているお薬ですが、妊娠後期に使用すると、胎児の腎臓の機能を低下させたり、早期動脈管閉鎖、肺高血圧症になる恐れがあります。

このNSAIDsは湿布にも含まれていることがありますので注意しましょう。薬を使用するときは、医師、薬剤師に相談しましょう。

まとめ

  • 妊娠前、妊娠超初期→基本的に薬の影響は受けない。
  • 妊娠初期→赤ちゃんの臓器の形成時期。特に2か月は薬の服用は慎重にしましょう。
  • 妊娠中期以降→奇形の心配はほぼないが、赤ちゃんの成長や早産に影響が出る薬もあるので、注意しましょう。

薬により催奇形性が起こる確率はどのくらい?

胎児の先天性異常(催奇形性含む)は100人に2人ほどの割合です。その要因は様々で、大きく遺伝要因と環境要因に分かれます。

先天性異常が起こる原因は、約90%とほとんどが遺伝要因です。遺伝要因とは、染色体異常や、変異遺伝子による遺伝病、多因子遺伝病等であり、未然に防ぐことはできません。

残り10%が環境要因です。環境要因とは、たばこ、アルコール、放射線、大気汚染、母体の状態、感染症等があり、その環境要因の中の一つに薬があります。

薬が影響で先天性異常ができる割合は1%と考えられており、胎児全体で考えると1万人に2人です。

もちろん、未然に防ぐために不必要な薬は避けることが一番。しかし、その為に母親の体調が悪化し、赤ちゃんに影響が出ることもあります。

医師や薬剤師に相談して出された薬は、飲んでも問題はありません。ただし、自己判断でむやみやたらと薬を飲むことは避けましょう。

薬が影響することは理解しているけど、サプリメントや漢方薬は大丈夫?

サプリメントや、一般的に副作用が少ないと思われている漢方薬については、何も心配せずに飲まれている方もいるでしょう。

しかし、これらも注意が必要です。

たとえば日常的にビタミンA剤を服用している場合は、妊婦のビタミンA過剰摂取により催奇形性が報告されているので、
妊娠を希望している場合は控えた方がいいでしょう。

また、葉酸のサプリメントは妊娠前から飲むことが進められています。

葉酸は先天性異常の一つである「神経管閉鎖障害」を起こすリスクを減らします。このようにサプリメントや栄養素によっても赤ちゃんにいい影響を与えたり悪い影響を与えることがあるので、むやみに飲むのではなく、医師や薬剤師に相談して飲む方がいいでしょう。

さらに、漢方薬でも子宮収縮作用をもつ漢方薬があります。市販の一般的な薬と比較して副作用が少ないと認識している方が多いと思いますが、漢方薬にも副作用はあります。そのため、飲む際は医師または薬剤師に相談してから飲むと安心です。

さいごに

薬が赤ちゃんへどのように影響するか、時期によって影響度がどのように変わるのかがご理解いただけましたでしょうか。薬のせいで、赤ちゃんに何かあってはと不安になることは、母親として当然の感情です。

しかし、過度に薬を避けて母親自身の病態が悪化してしまってはそれこそ赤ちゃんにも影響がでます。正しい知識を持って、治療上必要な薬でしたら、医師または薬剤師に相談をして適切に薬を飲みましょう。

また、医師や薬剤師に相談することが難しければ、相談窓口もいくつかあります。

おくすり110番など、ご自分で調べることができるホームページもあるので、そちらも活用して理解し納得してから薬を飲むと、安心ですね。