子宮内膜症に限らず婦人科系の病気は、将来的に妊娠を望んでいる方にとって大変なもの。子宮内膜症は症状によっては不妊の原因になりますし、最悪の場合は卵巣がんのような悪性の腫瘍になってしまうことも。

もちろん、このような事態を予防するためには定期的に検診を受けて、気になる症状があればすぐにでも婦人科にかかることです。病気を早期に発見できれば、早期に適切な治療を受けることも可能ですし治療の可能性も広がります。

とは言っても、仕事・家事・育児などで慌ただしく過ごしていると、定期的に検診を受けるのは難しいですよね。もしかしたら気になる症状があって、すぐに病院に行きたいと思っていても、なかなか病院にかかれないこともあるでしょう。

それでも、やはり必要に応じて検診を受けることです。病院で子宮内膜症だと分かって治療を受けることになったら、妊娠希望の有無などを判断して治療法を選択することもあるくらいですから。では、今回は子宮内膜症の治療法について見ていきましょう。

・基本的な検査は問診・内診・超音波検査

子宮内膜症の治療を行う前に、まずは子宮内膜症かどうかの検査を行います。その検査の内容として基本的なものと言えば、問診・内診・超音波検査などが挙げられます。

問診で聞かれる内容は、初経の時期・最終生理・生理周期・経血量・気になる症状などです。特に最終生理の日や生理周期に関しては、急に聞かれても適切な答えができないこともあるでしょう。

でも、問診は必要な検診を行うための情報なので、前日までにメモ帳にまとめておきましょう。それから、内診では膣に指を挿入してお腹を押さえ、子宮・卵巣の大きさ、癒着の有無などを確認します。

医者によっては「直腸診」と言って、直腸に指を挿入してダグラス窩(直腸と子宮の間)の深部で異常がないかを確認することもあります。この他、超音波検査では子宮・卵巣の状態を画像で確認し、卵巣チョコレート嚢胞の有無を調べます。

もし卵巣チョコレート嚢胞が発見できた場合には、そのサイズを測定します。ちなみに、超音波検査の方法には、膣の中に器具を挿入する方法・お腹にジェルを塗って器具を当てる方法の2種類があります。


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・必要な場合はCT・MRI・血液検査・腹腔鏡検査も!

問診・内診・超音波検査などの基本的な検査を行い、必要だと思われる場合にはCT・MRI・血液検査・腹腔鏡検査などの検査も行います。まず、CTはX線やコンピューターで体の断面を画像化し、子宮・卵巣の状態を詳しく確認する検査です。

MRIは磁気を使った画像検査で、子宮内膜症の場所・癒着のレベルなどを確認する検査です。それから、血液検査では腫瘍マーカーの数値が高くないかを確認して、子宮内膜症の有無を調べます。

また、腹腔鏡検査は全身麻酔を行ってからお腹に穴を開けて、穴に腹腔鏡を入れてお腹の中を確認する画像検査です。比較的小さめの症状であっても、腹腔鏡検査で判断できることもあり、確定診断や治療を兼ねた検査として行います。

・薬物による対症療法

子宮内膜症の治療法としてまずは薬物療法があるのですが、薬物療法はすぐにでも妊娠したい方にはあまり適していません。「暫くの間は妊娠の予定がないが、将来的には妊娠を望んでいる。」と言う場合に適した治療法です。

薬物療法の中には子宮内膜症そのものに重点を置く方法、今感じている痛みだけを緩和する方法があります。後者は「対症療法」と言い、鎮痛剤を服用します。

そもそも、子宮内膜症の痛みを引き起こしているのは、「プロスタグランディン」と言うホルモンです。鎮痛剤ではこのホルモンの分泌を減らすことで、痛みを軽減します。

鎮痛剤の効果を最大限に実感するためには、適切なタイミングで服用するのがポイントです。具体的には痛みが強くなってからではなく、痛みが酷くなりそうだと思った時に鎮痛剤を服用するのです。

つまり、生理が始まる前とか、痛みが酷くなる前に服用すれば、痛みのピークを逃れやすくなります。快適に過ごすためにも「痛みを我慢しよう!」なんて考えず、早めに鎮痛剤を飲んでおくのがベストです。

・薬物による内分泌療法

薬物療法の中でも子宮内膜症そのものに重点を置く方法が、「内分泌療法」です。内分泌療法には、経口避妊薬(偽妊娠療法)・GnRHアナログ療法(偽閉経療法)・黄体ホルモン療法(ジェノゲスト療法)などがあります。

まず、経口避妊薬は偽妊娠療法とも言われるように、低用量ピルを使用して妊娠中のようなホルモン状態に導きます。そして、生理中の経血量・生理痛を抑えて、生理中に剥がれ落ちる子宮内膜を増やさないようにします。

それから、GnRHアナログ療法は偽閉経療法とも言われるように、性腺刺激ホルモンの分泌量を減らして、閉経に近い状態に導くことで病巣を小さくします。黄体ホルモン療法は「ジェノゲスト」と言う黄体ホルモンを使って、女性ホルモンの分泌を減らします。

さらに、病巣に作用して小さくし、子宮内膜症による症状を緩和します。3種類の内分泌療法の中でも特に注意が必要なのがGnRHアナログ療法で、「半年間の使用で骨密度が減少する。」との報告もあります。

いずれにしてもホルモンに働きかける薬物なだけに、医師とよく相談して慎重に治療法を決定する必要があります。


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・腹腔鏡手術による保存療法

子宮内膜症の治療法は薬物療法だけではなく、症状によっては手術を行うこともあります。特に5cm以上の卵巣チョコレート嚢胞がある場合には破裂のリスクから、早めの手術を勧められることがあります。

そうでなければ妊娠の希望に合わせて、手術の方法を選択することになります。中でも妊娠を望んでいる方に対しては、腹腔鏡手術による保存療法が取られることが多いです。

具体的な手術の方法は、全身麻酔をしてお腹に穴を開けて、穴に腹腔鏡・器具を挿入して画面をチェックしながら手術します。手術では病巣だけを切除して、子宮・卵巣の正常な部分はできるだけ残します。

開腹手術と比較すると傷口も小さく癒着も少なくて済む上に、入院期間も早ければ数日間、長くても1週間くらいで済みます。

・腹腔鏡手術・開腹手術による根治療法

今後の妊娠の望まない方であれば、腹腔鏡手術・開腹手術による根治療法が勧められることが多いです。腹腔鏡手術か開腹手術かは症状によります。根治療法では子宮や卵巣を摘出して、女性ホルモンの分泌を無くします。

すると、子宮内膜症のある組織も縮小し、いつかは無くなります。特に重度の症状の場合には、子宮・左右両方の卵巣・卵管などの全ての組織を摘出します。ただ、この方法を取ると今度は更年期の不調が起こりやすく、卵巣の一部を残しておくこともあります。

・まとめ

子宮内膜症の基本的な検査は、問診・内診・超音波検査。この検査だけでは不十分と思われる場合には、CT・MRI・血液検査・腹腔鏡検査などの検査も行います。

これらの検査の中でも腹腔鏡検査では、比較的小さめの症状も確認することができるため確定診断とされています。もし検査で子宮内膜症が見つかった場合は、症状や妊娠希望によって治療法を選択することになります。

子宮内膜症の治療法には、対症療法・内分泌療法などの薬物療法、保存療法・根治療法などの手術などがあります。対症療法は鎮痛剤で痛みを抑える治療法で、症状そのものを治す治療ではありません。

内分泌療法には、ホルモンを妊娠中の状態に導く経口避妊薬(偽妊娠療法)・閉経に近い状態に導くGnRHアナログ療法(偽閉経療法)・女性ホルモンの分泌を減らす黄体ホルモン療法(ジェノゲスト療法)などの方法があります。

手術には、病巣だけを切除して正常な組織は残しておく保存療法・子宮や卵巣を摘出する根治療法があります。将来的に妊娠を望んでいる場合には保存療法、今後の妊娠を望んでいない場合には根治療法を勧められることが多いです。

薬物療法・手術のどちらも、体に負担のかかる治療法です。医師やパートナーとよく相談して、自分にとってベストな治療法を選択してください。