不妊治療において、タイミング法などで効果が見られない場合は、排卵誘発剤を使用することがあります。注射薬での排卵誘発剤は、経口薬よりも効果が強めですが、副作用が強いなどの注意点があります。

排卵誘発剤とタイミング法を併用すれば、確実に妊娠できるのでしょうか?排卵誘発剤を使用した当日、もしくは翌日のどちらにタイミングを取ればよいのでしょうか?

今回は、注射薬での排卵誘発剤の特徴や注意点、タイミング法との併用で得られる効果などについてご紹介します。

注射薬の排卵誘発剤は、作用が強いです。

排卵誘発剤には、経口薬と注射薬の2つのタイプがあります。

注射薬としては、HMG製剤(ヒュメゴン、パーゴナル、フェルティノームP など)が使用されています。これらの薬は、卵巣に直接働いて卵胞の発育を促すことで、排卵を進める効果があります。

クロミッド、セキソビドなど経口薬の排卵誘発剤よりは作用が強く、使用目的は無排卵の方の排卵を促す、または体外受精のために1 度にたくさんの卵を得るための用途です。

注射薬は卵巣を直接刺激するので、一度に複数の排卵が起こることも多く、したがって、双子、三つ子などが生まれる確率は20 %前後あるとされています。

また、薬の注射量や病状、薬に対する感受性によって卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という副作用がでることがありますので、よく注意した上で治療を始めましょう。


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排卵誘発剤とタイミング法との併用は効果あり?

タイミング法とは?

不妊治療の初期で指導される、自然周期の「タイミング法」とは、排卵日に合わせて性行為をすることで精子と卵子の受精を狙う方法です。

排卵は月に1回しかないため、排卵時期以外に性行為をしても妊娠する確率はほぼありません。そのため、タイミング法で排卵を狙って性行為をする方が確率は上がるのです。

一般的に排卵時期は、おおよそ排卵日前3日間を指します。この排卵日の数日前に避妊なしで性行為をすることで、妊娠する確率が上がるといってもよいでしょう。

自身の排卵日を予測することで、自然周期のタイミング法の実践に入れます。

基礎体温の計測、排卵検査薬の使用、婦人科での診察によって排卵日の予測が可能です。

基礎体温の計測が一般的に認知されている方法で、ご自身でタイミング法を試す、または病院で指導を受ける場合いずれにも基礎体温のデータが必須となりますので、妊活を始めるのであれば、まずは基礎体温の計測を続けることから始めましょう。

排卵誘発剤を使用してのタイミング法

自然周期によるタイミング法を数ヶ月ほど続けても妊娠の兆候が見られない場合は、排卵誘発剤を使用してのタイミング法へと切り替えます。

排卵誘発剤によるタイミング法では、まず経口薬の排卵誘発剤で排卵を促します。最初から注射薬を使用するのは身体への刺激が強く、副作用が懸念されるからです。

そして、自然周期のタイミング法と同じ方法で排卵日と排卵時間を予測し、自然妊娠を目指します。数ヶ月経っても妊娠しない場合は、医師との同意のもとで、注射薬の排卵誘発剤に切り替えることがあります。

排卵誘発剤を使ったタイミング療法を行っても自然妊娠しない場合は、人工授精に進みます。ただ、治療を急いだほうがよいケースに該当する方は、数周期のみチャレンジするか、もしくは初めから、人工授精か体外受精を行うこともあります。

卵胞の発育とスムーズな排卵が、妊娠成立の近道です。

注射薬の排卵誘発剤であるHMG製剤は、卵胞(卵子)を育てるための薬です。

卵胞を発育させ、さらに排卵を促したうえでタイミングを取れば、妊娠率は上がります。排卵を促す作用のある排卵誘発剤として、hCG製剤という注射薬があります。HMG製剤とhCG製剤を併用することで確実な排卵が望めます。

卵胞は育つけれど、うまく排卵が行われない場合には医師との相談の上でhCG製剤を検討してもよいかもしれません。

hCG製剤の主な効果は?

hCG製剤について

hCG製剤が使用される目的は、排卵を促すこと、黄体ホルモンの補充の2つです。排卵を促すことでタイミングを取りやすくなるので、不妊治療において多く活用されています。

他の排卵誘発剤の作用で卵胞は育つけれど、排卵が行われない場合には、排卵を誘発して妊娠の可能性を高めるためにhCG注射が使用されます。卵胞の発育そのものが悪い場合は、卵胞を育てる内服薬や注射と併せて使用することもあります。

hCG製剤自体には卵胞を育てる作用はありませんが、育った卵胞から確実に卵子がでることを助けて、受精のサポートをします。


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黄体ホルモンの補充で、妊娠継続できる身体作りを

黄体機能不全など黄体ホルモンの分泌に異常がある場合、受精卵が着床してもはがれやすく、妊娠継続が難しい場合があります。

そのため、人工的にhCG製剤を注射することで黄体ホルモンを補う必要があるのです。

黄体ホルモンの補充がうまくできているかは、採血をするなどして定期的に確認をします。ホルモンの補充は、妊娠判定までの期間と妊娠成立後も継続して行われます。

病院によっては、黄体ホルモンの補充の際に、同時に卵胞ホルモンの補充を行う場合もあります。

hCG製剤を併用すれば、妊娠確率が高まる?

タイミング法が成功する?

hCG製剤を注射すると排卵が促されるので、注射後24~36時間後に排卵が起きます。

そのため、hCGを注射する前日と注射した当日~翌日にタイミングを取ると受精する可能性が高くなるといわれています。注射の当日と翌日、両日にタイミングを取ったことで妊娠成立したとの声もあります。

排卵確認も、できるだけ忘れずに

hCG製剤を注射したからといって、必ず排卵が起こるとは限りません。

1回の注射では排卵しない場合があり、2回に渡って注射を試したところ排卵が起こったとの声もありますので、注射後は病院にて排卵確認をすることをおすすめします。

排卵確認によって、治療の方法を変えるきっかけとなることがあります。例えば排卵誘発剤を経口薬から注射薬に変えたことで、妊娠が成立することもあります。

また、排卵確認によってタイミングが取りやすくなります。細かい排卵確認を行いながら、先述のスケジュールでタイミングを取ることが重要でもあります。

副作用にご注意を!

hCG製剤の注射は、排卵を促してホルモンを補充することにより、妊娠する可能性を高める効果が期待できますが、少なからず副作用がみられることが問題となっています。

排卵誘発剤で卵胞が複数育ち過ぎてしまった場合、その状態でhCG製剤を注射することで起こる副作用の一つに、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)があげられます。

排卵誘発剤の使用時に強い刺激を受けることで、卵巣が大きく腫れる症状です。腹部の膨満感や呼吸困難なども併発する場合があります。

重症化すると卵巣内の腫れや腹水がみられ、さまざまな合併症を起こす可能性があります。また、多胎妊娠のリスクがあることも忘れてはいけません。

hCG製剤は強い作用があるため、排卵誘発剤によって卵胞が複数育っている状態で使用すると、一度に複数の排卵が起こることもあり、双子や三つ子などの多胎妊娠の割合が自然妊娠よりも高くなります。

多胎妊娠は、早産や妊娠高血圧症候群等のリスクがあるとされています。リスクを防ぐために、排卵誘発剤の使用にはいっそう注意を必要とします。

まとめ

排卵誘発剤、特にhCG製剤との同時使用は非常に効果が高いですが、副作用が起こりやすいという心配もあります。治療を検討する前は、まずは医師に相談の上で、治療内容を理解していきましょう。

夫婦でも話し合いをして、お互いが納得のいく形で、慎重に治療を進めることが大切です。