最近は晩婚化が進んでおり、高齢出産の増加に伴って染色体異常も増えています。老化が感じられるのは、肌とか表面的な部分だけではありません。年齢とともに体力や妊娠力も落ちていきます。

妊娠力の低下と言うと不妊ばかりを考える方も多いでしょうが、精子や卵子の老化は染色体異常に繋がることも。染色体異常は流産や障害の原因となることがあり、出産や育児を考える上でかなり重要な問題です。

そこで、出産までに染色体異常の可能性を知ることのできる診断として、「出生前診断」や「着床前診断」などがあります。流産や障害の可能性を早く知ることができれば、今後の妊娠の継続を考えることができます。

最終的に妊娠の継続を決断するとしても、早めに必要な知識を習得しておくことが可能です。知識があれば無事出産を迎えられるよう、気を付けながら妊娠生活を送ることができるかも知れません。

さらに、無事出産を迎えた後は、子供に適切なサポートもしやすくなるはずです。では、今回は出生前診断と着床前診断の違い・問題点について見ていきましょう。

・出生前診断とは?

「出生前診断」は妊娠して出産までの間に、胎児の遺伝子・染色体の異常を検査するものです。出生前診断には、絨毛検査・羊水検査・母体血清マーカーテスト・NIPT(母体血胎児染色体検査)などの方法があります。

絨毛検査は「子宮頸部にカテーテルを挿入orお腹に針を刺す⇒胎盤から絨毛を採取」と言う流れで、羊水検査は「お腹に針を刺す⇒羊水を採取」言う流れで検査を行います。それから、母体血清マーカーテストやNIPTは、血液を採取して検査を行います。

ただ、出生前診断は誰でもいつでも、自由に受けられるものではありません。夫婦が染色体異常を持っていたり、過去に染色体異常の赤ちゃんを産んでいたり、高齢出産でリスクを抱えていたりなど、一定の条件をクリアしている方だけが受けられます。さらに、出生前診断は種類によって、受けられる時期も決まっています。

具体的には、絨毛検査は妊娠11週以降、羊水検査は妊娠15週以降、NIPTは妊娠10週以降に受けられます。そして、母体血清マーカーテストは妊娠初期だと妊娠11~13週まで、妊娠中期だと妊娠15~20週まで受けられます。リミットがあるだけに、出生前診断を考えている方は早めの判断が必要です。


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・着床前診断とは?

「着床前診断」は受精卵の段階で、遺伝子・染色体の異常を検査するものです。つまり、着床前診断では着床(妊娠)する前に、遺伝子・染色体の異常を検査できると言うことです。

着床前診断には、FISH法・array CGH法・次世代シークエンサー法などの方法があります。FISH法では染料を使って染色体を着色して、染色体の異常を調べます。array CGH法ではコンピューターを使って、受精卵の細胞を解析します。

次世代シークエンサー法では専用装置を使って、細胞の遺伝子情報を読み取ります。実は、着床前診断も出生前診断と同じように、「誰でもいつでも自由に受けられる」と言う訳ではありません。

まずは、夫婦が染色体異常を持っていたり、過去に染色体異常の赤ちゃんを産んでいたりなど、一定の条件をクリアしている方だけが受けられます。それから、着床前診断は診断の名前にあるように「着床前」なので、妊娠する前の受精卵の状態でなければ診断できません。

・出生前診断と着床前診断の違いは?

出生前診断と着床前診断の大きな違いは、「遺伝子・染色体の異常が出生前に分かるか、着床前に分かるか」と言うことです。出生前に遺伝子・染色体の異常が分かると言うことは、妊娠して出産までの間に遺伝子・染色体の異常が分かると言うことです。

そして、着床前に遺伝子・染色体の異常が分かると言うことは、受精して妊娠するまでの間に遺伝子・染色体の異常が分かると言うことです。まず、出生前診断のメリットは、妊娠中の早い段階で受けるほど、赤ちゃんの遺伝子・染色体の異常を早めに知って心の準備ができることです。

それから、着床前診断のメリットは、妊娠する前に遺伝子・染色体の異常を知って、出生前診断よりも心身の負担を軽減できることです。妊娠する前に子供の遺伝性の疾患や染色体異常を回避できたり、体外受精の際の流産率を減らして妊娠率を上げたりなどのメリットもあります。

何度も流産を経験している方、遺伝性疾患や障害を持つ子を出産する可能性から、やむを得ず妊娠を諦めてしまう方もいます。着床前診断はこのような方にとって、大きなチャンスと言えます。


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・出生前診断と着床前診断の問題点は?

「出生前診断・着床前診断は、妊娠中・妊娠前に遺伝子・染色体の異常が分かって便利なもの!」と、多くの方が思っているでしょう。でも、このような便利に見える診断にも、実は問題点が存在するのです。

まず、出生前診断の問題点は、方法によっては流産や合併症のリスクがあること、100%の精度ではないことなどです。出生前診断の中でも絨毛検査・羊水検査はお腹に針を刺したり、場合によっては子宮頸部にカテーテルを挿入したりすることもあります。

妊娠の早い段階で遺伝子・染色体の異常が分かるのは良いですが、妊娠初期にこのような検査を行ってリスクがない訳がありません。数値にすると絨毛検査による流産リスクは1%近く、羊水検査の流産リスクは0.4%前後と言われています。

この確率を高いと感じるか、低いと感じるかは人それぞれですよね。「少しでも流産リスクのあることは避けたい!」と考えている方には、やはり絨毛検査・羊水検査は良い出生前診断とは言えません。

「精度はほぼ100%」と言われていても、僅かな確率で間違っている可能性も否定できませんから。それから、着床前診断の問題点は、妊娠できるとは限らないこと、100%の精度ではないことなどです。

着床前診断は受精卵が着床する前の段階で、妊娠する前に行うものなので妊娠しない可能性もある訳です。異常のない受精卵を選べても、さすがに妊娠するかどうかまでは選ぶことはできないのですから。

さらに、着床前診断そのものについても、あくまでも可能性で100%正しい結果を保証するものではありません。この他、出生前診断も着床前診断も受けるために、何万と言う費用が必要になるのが問題点と言えます。

・まとめ

出生前診断は妊娠してから出産までの間に胎児の遺伝子・染色体の異常を、着床前診断は着床する前の受精卵の段階で遺伝子・染色体の異常を検査するものです。

いずれの診断も夫婦が染色体異常を持っていたり、過去に染色体異常の赤ちゃんを産んでいたりなど、一定の条件をクリアしていなければ受けることができません。また、出生前診断は方法によっては、受けられる期間も決められています。

それで、出生前診断と着床前診断の大きな違いは、出生前か妊娠前かどちらの段階で遺伝子・染色体の異常が分かるかです。診断を受けるのが早ければ早いほど、早めに遺伝子・染色体の異常を知って、心の準備をしておくことが可能です。

ただ、このような万能に見える診断にも問題点があります。まず、精度に関して言うとほぼ100%と言われているものでも、あくまでも可能性の問題で完全に100%を保証するものではありません。

それから、出生前診断の場合で、何よりも気を付けなければならないのが「流産リスク」です。絨毛検査・羊水検査は確定的検査を言われるほど精度は高いのですが、お腹に針を刺したり、子宮頸部にカテーテルを挿入したりするだけに流産リスクがあります。

稀に検査後に破水したり、出血・腹膜炎などを起こすことも。着床前診断にはこのようなリスクは少ないものの、妊娠できるとは限らないことが問題点です。出生前診断も着床前診断も何万と言う費用がかかるので、本当に自分に必要な検査なのか、費用以上のメリットが得られそうかなどをよく考えて、受けるかどうかを慎重に判断しましょう。