最近の医学の発達は実に素晴らしいもので、出生前に子供の遺伝子・染色体の異常が判断できる診断も存在します。これを「出生前診断」と言うのですが、晩婚化で妊娠・出産が高齢化している現在では、かなり関心度の高い検査です。

検査の方法によっては、精度はほぼ100%と言う高さ。「健康な子供が欲しい!」と強く願う夫婦ほど、一度は出生前診断に興味を持つでしょう。

確かに、妊娠中に子供に異常がないことが分かれば、安心して出産を迎えられそうですよね。逆に、妊娠中に子供の異常が分かれば、早めに何らかの対策ができるかも知れません。

障害児の育児は、実際に経験した方でないと分からないくらい大変なもの。妊娠中に障害に関する知識を習得して、必要なサポートができる環境を整えてあげられると、少しでも安心して育児に臨むことができます。

ただ、出生前診断はメリットばかりのものではなく、残念ながら問題点もあります。出生前診断で十分なメリットを得るためには、問題点を上手く解決する必要があります。では、出生前診断の問題点と解決策について見ていきましょう。

・出生前診断を受けられる時期がある

出生前診断の問題点と言えば、まずは「受けられる時期があること」が挙げられます。つまり、いつでも出生前診断を受けられる訳ではないのです。

まず、妊娠初期の検査に関しては、NIPTが妊娠10週以降、初期胎児ドック・母体血清マーカーテストが妊娠11~13週、絨毛検査が妊娠11週以降に受けられます。

そして、妊娠中期の検査に関しては、母体血清マーカーテストは妊娠15~20週、中期胎児ドッグが妊娠18~20週、羊水検査が妊娠15週以降に受けられます。

初めにNIPT・胎児ドッグ・母体血清マーカーテストなどの非確定的検査を受けて、何らかの異常の可能性が考えられる場合には、追加で絨毛検査・羊水検査などの確定的検査を行うこともあります。

いずれにしてもどの検査方法にも受けられる時期があるので、「検査を受けるかどうか、じっくり考えよう!」なんて言う訳には行きません。できることなら妊娠する前から夫婦で話し合っておき、妊娠してからすぐにでも医師に相談できるのがベストです。


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・診断結果が間違っている可能性もある

出生前診断の大事な問題点として、「診断結果が間違っている可能性もあること」も挙げられます。絨毛検査・羊水検査のような確定的検査でも、精度はほぼ100%で間違える可能性がゼロと言う訳ではありません。

なので、非確定的検査となると絨毛検査・羊水検査よりも高い確率で、誤った結果が出る可能性があると言うことです。中でも母体血清マーカーテストの精度は、80%くらいと言われています。

異常がないにも関わらず陽性反応が出る確率も、5%くらいあるとされています。診断結果が誤っている場合でも、「診断結果では陽性だったけど、出産した後で健常だと分かった!」と言うのであれば問題ありません。

でも、「診断結果が陽性だったから妊娠を諦めた。」とか、「診断結果が陰性だったから妊娠を継続したのに、出産した子が障害のある子だった。」なんて言う場合は大変なことですよね。

診断結果に振り回される可能性もあり得るので、診断結果をあくまでも可能性として受け止められるかが、出生前診断を受けるかを検討する上で大切なポイントです。

・出生前診断で全ての異常が分かる訳ではない

出生前診断は子供の遺伝子・染色体の異常が、全て確実に分かる訳ではありません。残念ながら出生前診断で分かる遺伝子・染色体の異常は一部だけで、出産を迎えるまで分からない異常もあるのです。

出生前診断には色々な検査方法があるのですが、検査方法によっても診断できる異常は違ってきます。出生前診断で異常がなくても、出生前診断で診断できなかった異常が出産後に見つかることもあります。と言う訳で、「自分がどういう異常を診断したいのか。」、「その異常を診断するために、どういう検査を受けたら良いのか。」を調べてしておきましょう。

そこで、「全ての異常が分かる訳ではない出生前診断を、わざわざ受ける必要があるのか。」と言う疑問に、辿り着くこともあるかも知れませんね。もちろん、出生前診断の問題点が頭に浮かんでしまう場合には、問題点をクリアしない限りは診断を受けない方が良いです。


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・出生前診断は受けられる病院が限られている

出生前診断はどの病院でも受けられるものではなく、実は受けられる病院が限られているのです。出生前診断はただマニュアル通りに診断すれば良い訳ではなく、慎重に行われなければいけないものだからです。

出生前診断で子供の可能性を調べるからには、診断結果によって夫婦や子供の将来が変わることも多いでしょう。本来なら出生前診断のメリット・デメリットを丁寧に説明すること、結果が出た場合に妊婦さんに精神的なサポートを行うことも大切です。

このような業務も丁寧に行うためには、遺伝の専門医・カウンセラーなどの専門的な人材も必要です。逆に、出生前診断を行っている病院であっても、専門的な人材が足りていない状況で診断を行っている場合もあります。

出生前診断を受ける病院選びとして、もちろん「自宅から無理なく通える場所か。」「納得の行く費用で診断を受けられるか。」なども重要です。

ただ、もっと重要なのは「出生前診断が慎重に行われているか。」なので、少しでも気分良く受けられるよう、診断以外のサポート面についても下調べして病院選びをした方が良いでしょう。

・検査方法によってはリスクがある

出生前診断を検討している方の多くは、出生前診断のリスクについても下調べしているでしょう。出生前診断の中でも、血液を採取する方法はほとんどリスクはありません。

ただ、確定的診断として行われる絨毛検査・羊水検査は、お腹に針を刺したり子宮頸部にカテーテルを挿入して検査を行うため、稀に母体や赤ちゃんにリスクが伴うことがあります。

具体的には、流産・出血・破水・腹痛・感染症などです。本当なら無事産まれてくるはずの子が、出生前診断を受けたがために流産してしまうこともあるのです。「リスクを冒してまで出生前診断を受ける必要があるのか。」を、よく夫婦で話し合っておきましょう。

・診断結果が出るまでに時間がかかる

出生前診断の問題点と言えば、「検査結果が出るまでに時間がかかること」も挙げられます。血液を採取する方法でも、結果が出るまでに10日以上かかると言われています。長いと結果待ちが2週間も。

結果待ちが長いと待っている間、不安になってしまうかも知れませんね。それに、「結果によって今後の妊娠や育児について考えていこう。」なんて思っている方だと、考える時間が十分に取れず良い決断ができないことも。

「診断結果が出て慌ててこんな決断をしてしまったけど、こういう決断をすれば良かった。」と、後々後悔することもあるかも知れません。このようなことを避けるためには、診断結果が出るまでの間、ただ結果を待っているだけではダメです。「もし悪い診断結果が出たら、自分に何ができるか。」をじっくり考えておき、万一の場合に備えましょう。

・まとめ

出生前診断の問題点は、主に次のようなことです。

「出生前診断を受けられる時期がある。」「診断結果が間違っている可能性もある。」「出生前診断で全ての異常が分かる訳ではない。」「出生前診断は受けられる病院が限られている。」「検査方法によってはリスクがある。」「診断結果が出るまでに時間がかかる。」このような問題点の解決策としては、まずは出生前診断を受けるかどうかは、妊娠する前でも気になった時に夫婦で相談しておくことです。

この時に出生前診断の精度・リスク・診断できる異常の種類などを、きちんと下調べしておきましょう。それから、出生前診断が受けられる病院は限られているので、早めに通いやすくて安心できる病院を見つけておくことも大切です。

出生前診断は結果が出るまでに10~14日かかるので、悪い診断結果が出た時を想定して、「自分に何ができるか。」をじっくり考えておくのも良いでしょう。

考える時間はたくさんあるようで、実は結構短いものです。短い時間を有効に活用するためには、出生前診断のデメリットをよく知った上で診断を受け、結果待ちの時間も自分にできることを精一杯しておくと良いかも知れませんね。